仕出し料理の「ふじわら」が、「神田川」仕込みのコースもいただける店にリニューアルして、もう9年になる。小・中・高と野球少年だった2代目・藤原勇二さんだが、「料理人になる」という決心はついていた。高校卒業後、初代である父の薦めで大阪の調理師専門学校に入学。講師の神田川俊郎氏の講義に圧倒され、1年後「神田川」の門をたたいたのである。
最初は“追い回し”。料理以外の細かい仕事を無心にこなす2年が続く。「先生はよく“気配り(機転の利く)、目配り(整理整頓のできる)、欲配り(お客の心をつかみ、いい客を持っている)”のできるのが料理人だとおっしゃってました。それを実行しているかも見ていて、丁寧に仕事をすれば、ちゃんと知っていてくれるんですよ」。
努力と実力が徐々に認められ、6年後、徳島に戻るころには、「新フランス懐石・神田川」の店長の次のポジションで働くようになっていた。【料理の鉄人】で神田川氏が闘ったときも、あのキッチンスタジアムまで同行したそうだ。
「父を見てると先生の言う“欲配り”の大切さがわかりますね。お客さんとのつき合いが本当にうまいんです、親父は」。
料理は心。神田川氏の教えと父を手本に、2代目の腕にはますます磨きがかかっていきそうである。もちろん、威を借ることなく。